2015/10/13 Tue. 00:39:26 edit
prima che「……する前に」とならんで,主文が時間文より以前におこることを表す時間文は finché, fino a che, fino a quando, fin quando「……するまで」です.
残念ながら,finché の中の時制については,現時点では網羅的にまとめている文法書はないように思われます.以下の記述についても,僕自身が断片的な文法書の記述と例文,ならびに実際の文章を比較してまとめたもので,実際にこのような規則であるかどうか僕自身も確かめようがありません.何回か書き換えることになると思いますが,ご了承下さい.
prima che とは異なり,finché, fino a che, fino a quando, fin quando は,接続法と直説法の両方が可能です.結局は主観の差になるのでしょうが,どちらを用いるかは次のようにまとめられます.
直説法……主文が過去であれば,その行為が実現して,実際の時間関係を述べている場合です.主文が現在または未来であれば,話している人にとって,確実に実現するあるいは実現させる,あるいは実現が自明な場合となるでしょう.
接続法……主文が過去でも現在・未来でも,その行為が実現したかは不問で,あるいははっきりその時と決めている訳ではなく,漠然とそういった時まで,という意味の時(あえて訳すなら「ぐらいまで」)に用いられます.
Il cane non mangiava niente finché il suo padrone glielo permetteva.
その犬は,彼の主人がそれを許すまでは,何も食べなかった.
Vi resisteremo fino a che avremo la forza in corpo. 身体に力があるかぎり,我々は君達に抵抗するだろう.
Posso guardare la TV finché mio marito non ritornerà a casa.
旦那が帰ってくるまで(帰ってこないうちは),私はテレビを見られる.
Hanno aspettato fino a quando non tornasse Marco. マルコが帰ってくるまで彼らは待っていた.
なお,あとの二つの例のように,finché, fino a che などの中では,冗語的に non が添えられることも多いです(以下の例文でも入っている時は念のため斜体字にしていますが,これらはすべて省略可能です).「……しないうちは」という発想があるのでしょう.
具体的にどの時制を使うかは,やや複雑になります.
(1) 主文が現在・未来の時:
finché の中の動詞は接続法現在
もしくは直説法未来あるいは現在(未来の代用の現在).
Rimaniamo a casa finché non smetta di nevicare.
雪が止む(ぐらい)まで,僕らは家にいよう.(接続法現在なので,漠然とした時間)
Rimaniamo a casa finché non smetterà (smette) di nevicare.
雪が止むまで,僕らは家にいよう.(直説法未来(現在)なので,はっきりした時間)
しかし,主文が現在・未来の場合も,prima che の (1)' 同様に,しばしば接続法過去の例が見られます.この場合も,継続している動作の終了時点が,finché の中の行為の完了である,という発想から,現在・未来の主文に対する「以前」の接続法が用いられていると思われます.「……してしまうまで」という意味がしっくり来ると思います.
Non smetterò di investigare finché non abbia chiarito tutta la verità.
真相の全てを解明してしまうまでは,僕は調査を止めない.
(2) 主文が過去の時,finché の中の動詞は,
直説法半過去もしくは先立過去(ebbi + 完了分詞, ただし主文が遠過去の時のみ)
接続法半過去もしくは大過去 (つまり fossi / avessi + 完了分詞)
finché の中の動詞の時は,前述のとおり,実際の時間関係となります.直説法半過去は通常の時制の関連の規則にしたがったものです.
Rimanemmo a casa finché non smetteva di nevicare. 僕らは雪がやむまで家にとどまった.
これに加えて,主文が遠過去の場合のみ,先立過去が用いられます.この場合は「……してしまうまで」のニュアンスになると思われます.もちろん,主文の行為がfinchéの中の行為の直後に終わるので,先立過去が用いられるケースとなります.
Rimanemmo a casa finché non ebbe smesso di nevicare. 僕らは雪がやんでしまうまで家にとどまった.
先立過去の代用で,finchéの中でも遠過去が用いられることもあります.
Rimanemmo a casa finché non smise di nevicare. 僕らは雪がやむまで家にとどまった.
(主文……遠過去,finché……遠過去)
通常の時制の一致の規則では,これに加えて「過去における未来」の条件法過去が用いられますが,finché の場合は,接続法大過去に取って代わられるので,選択肢からは消えます.
finché の中の動詞が接続法半過去の場合,「……するぐらいまで」ということになると思います.
一方,接続法大過去の場合,prima che でみた「過去における未来」の用法にあたり,「……するまで(と思って)」ということになると思います.ただ,用例を色々みていると,明瞭にニュアンスを区別できるようにも思えませんから(直説法と接続法を比較してもそうです),あまり差異を厳密に考えないほうがいいかもしれません.
Rimanemmo a casa finché non smettesse di nevicare. (接続法半過去)
Rimanemmo a casa finché non avesse smesso di nevicare. (接続法大過去)
雪が止む(ぐらい)まで(と思って),僕らは家にいた.
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